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価格が、少なくとも今回と比べて安くなる。高アルコール濃度ビールの消費量が増え、2級ビールの消費量が減って、アルコール総消費量(及びアルコールによる問題)を押し上げるのはほぼ確実である。
アルコール消費の減少に最も効果的な手段である価格の効果が、今後確実に薄れていくことは必至である。これはまた政府の判断でもあり、たとえ政府が輸入割当ての引き上げを(まだ)受け入れないとしても、このような予測は変わらない。
政府は、アルコール政策委員会及び国家運営委員会を通じ、アルコール政策の当初の目標の維持を可能とする新たな手段を模索している。
しかし、目新しい良策は存在しない。政府は数週間後に提出される予算案の中で、アルコール政策の目標を維持するにとを明言し、主に地方レベルでの情報と世論形成が不可欠であると述べている。
減税が必要となった時、情報と世論形成だけに頼れると考える人はほとんどいない。むしろこの国で新しいのは、地方レベルの行政関係者に今後期待される役割である。地方自治体に対して望まれるのは、地方レベルの様々な行政担当者が今後の予防への取り組みにおいて積極的に責任を果たしていくようなアルコール・麻薬政策の計画を策定することである。
他国の経験から、地域共同体レベルでの組織的な予防への取り組みが良い結果をもたらすことは保証されているが、今後予想される価格の引き下げを十分に補うだけの手段が可能かどうかを判断することは難しい。現時点での予測としては、いくつかの理由から悲観的にならざるをえない。
スウェーデンの制限的アルコール政策は長年来の伝統で、国会やスウェーデンの社会で重要な役割を担っている非政府組織の間に深く浸透している。しかし、主に保守党議員の中には、個々の立場でより自由な政策を支持するという政治家もいないわけではない。
国会にも国民の間にもアルコール政策の重要な変更を求める強い圧力はない。このように、今後起こるであろうより自由な政策への移行が、できるだけ地方レベルに近い意志決定を基本とする組織への加盟の結果であるというのはちょっとした皮肉といえよう。

 

参考文献
Holder H.et alスウェーデンにおけるアルコール卸売り独占廃止の評価(Assessment of Consequenes Resulting from the Elmination of the Swedish Alcohok RetaikingMonopoly ("Systembolahget"))Stencil,Sysembolaget,Stockholm,1993.Leifan H食料品店でのアルコール飲料の販売について(Attityder till forsaljning avalkoholdryckerilivsmedelsbutiker(In Kuhlhorn,E&Leifman H.編)ICA−nubbe eller hemkort, Department of Sociology, University of Stockholm,1994.

 

 

 

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